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不安症 生活習慣

不安症状との上手な付き合い方

坂田亮介
2025年10月9日
約7分で読めます

不安は誰にでもある自然な感情ですが、日常生活に支障をきたす場合は専門的な対応が必要です。

不安とは何か

不安は、危険や脅威に対する正常な反応として、誰もが経験する感情です。適度な不安は、私たちを危険から守り、準備を促す重要な役割を果たします。しかし、この不安が過度になり、日常生活に支障をきたすようになると、不安症(不安障害)の可能性があります。

不安症状の種類

全般性不安障害

日常のさまざまなことに対して過度に心配し、その心配をコントロールできない状態が6か月以上続く場合。

パニック障害

突然の強い不安発作(パニック発作)を繰り返し、発作への恐怖から行動が制限される状態。

社交不安障害

人前で話したり、食事をしたりする際に強い不安を感じ、社交場面を避けるようになる状態。

特定の恐怖症

特定の対象(高所、動物、血液など)に対して過度な恐怖を感じる状態。

不安症状と上手に付き合う方法

1. 呼吸法の実践

不安を感じたときは、深呼吸が効果的です:

  1. 4秒かけてゆっくり鼻から息を吸う
  2. 4秒間息を止める
  3. 6秒かけて口から息を吐く
  4. これを5-10回繰り返す

2. グラウンディング技法

「5-4-3-2-1法」を試してみましょう:

  • 目に見えるもの5つを挙げる
  • 聞こえる音4つを挙げる
  • 触れているもの3つを挙げる
  • 匂いがするもの2つを挙げる
  • 味がするもの1つを挙げる

3. 認知の再構築

不安を引き起こす考え方のパターンを見直します:

  • 「最悪の事態」を考えがちな傾向に気づく
  • 現実的な可能性を検討する
  • バランスの取れた視点を持つ

4. 段階的曝露

恐れている状況に少しずつ慣れていく方法:

  1. 不安を感じる状況をリストアップ
  2. 最も不安が低いものから順に並べる
  3. 一番低いレベルから少しずつ挑戦する

生活習慣の改善

運動の重要性

  • 週3回、30分程度の有酸素運動
  • ヨガやストレッチも効果的
  • 自然の中での散歩もおすすめ

睡眠の質を高める

  • 規則正しい睡眠時間
  • 寝る前のスマートフォン使用を控える
  • リラックスできる就寝前のルーティン

カフェインとアルコール

  • カフェインは不安を増強させる可能性
  • アルコールは一時的に不安を和らげるが、依存のリスク
  • 適量を心がける

専門的な治療

認知行動療法(CBT)

不安を引き起こす思考パターンを特定し、より現実的な考え方に変えていく治療法。

薬物療法

  • 抗不安薬:即効性があるが依存性に注意
  • SSRI/SNRI:長期的な治療に適している
  • 医師と相談しながら適切に使用

マインドフルネス

今この瞬間に意識を向け、判断せずに受け入れる練習。不安の軽減に効果的。

サポートシステムの構築

家族や友人の理解

  • 症状について相談する
  • 具体的なサポート方法を伝える

まとめ

不安症状は適切な対処法と治療により、十分にコントロール可能です。一人で抱え込まず、必要に応じて専門家のサポートを受けることが大切です。当院では、患者様の状況に応じた個別の治療計画を立て、回復をサポートいたします。

坂田亮介

著者

名東メンタルクリニック 院長
精神保健指定医・日本精神神経学会専門医

医学的監修済み (2025年10月9日)

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